8時まで熟睡する。人がいると寝られない、と思っていたけど案外寝られるものだ、と安心。
シャワーを浴びて盆の国を読む。死者を弔うという行為は、もちろん死者に対して行われることではあるけれど、本当のところは残されたものが気持ちを清算するためにつくられた時間なのだと思う。世の中では当たり前にそう思われているのだと思うけれど、子供の頃はそれに気付かなかった。これは生きているものがこれからも生きるための仕組みなのだ、と気付いたのは祖父が亡くなった頃くらいかもしれない。やっぱりお盆は祖父のことを思い出す。おしょらいさんのように会えたら、とすら思う。恋人が起きてくる前に泣き顔を水で冷やす。
恋人が起きてきたので昨日と同じように洗濯、朝ごはん。冷しゃぶサラダのレタスが余っていたので、ベーコンとたまごと一緒にサンドイッチにする。これがめちゃくちゃ美味しかった。
昼ごろに恋人の家に行く。一度も行ったことがない、と言うと周囲にええっ、と驚かれていたのだが、ようやく行った。行ったけど外観だけ。めちゃくちゃ汚いからと入れてもらえない。これまで話に聞いていた原付や駐車場などが実在しており、聖地巡礼みたいな気持ちになる。
相手の車に乗り込み、比叡山に出発! の前に、コンビニでコーヒーを買う。車で駐車場があるコンビニに行ってコーヒー買うのって久しぶり。セブンのコーヒーは平日にしか飲まないから仕事の味がする。ガソリンスタンドで洗車をして(車拭くのって楽しい)、いよいよ出発。
学生の頃は何度か山中越えを通ったことがあったが、それ以来。別当町の交差点に来るとワクワクする。ここ数年行くたびに閉まっていたジュネスが開いていてめちゃくちゃでかい声が出た。閉店したわけじゃなくて本当によかった。
比叡山ドライブウェイに行くのは初めて。思っていたよりすぐに絶景で笑っちゃった。地図どおりの湖南の形。ここからでもでかいプリンスホテルってすごい。
夢見が丘展望台で降り、湖南の風景を堪能する。おそらく実家もあるはず、でも120秒100円の望遠鏡にお金を払うのもなーというケチ根性が働いて、多分あの辺、で終わった。今書いてて思ったけど120秒100円なら払ってもよかった気がする。
ソフトクリームを買って、別の展望台から景色を眺めつつ食べる。炎天下でのソフトクリームが久々すぎて、溶けるスピードに食べるスピードが追いつかない。ぼたぼた零しながら食べた。
上がればあがるほど涼しくて、エアコンなんていらない。窓を全開にして、風を受ける。蝉の鳴き声も次第にミンミンゼミになる。この真夏にこの涼しさは不思議!
山の切れ目からちらりと見える琵琶湖の景色もいちいち綺麗。「涼し〜」「わ!(琵琶湖)」の繰り返し。
途中でまた展望台を見つけて降りる。こちらは大津市街と京都市街を両方見られる場所。山ひとつでしか仕切られていないのに、これほどまでに街並みが違うのはすごい、山というものの存在の力強さを感じる。そりゃ信仰の対象にもなるわな。遠くに霞がかかった大阪市街も見えた。「あそこまで通勤してるの、アホらしいですね」「ほんとだよ(相手は京都で働いている)」展望台のあちこちで、京都タワーや御所、近江大橋などを指差して盛り上がっている人たちがいた。有料道路だからか治安がいい。
もう少し車を走らせてもらって、相手が延暦寺を見たい、というので延暦寺バスセンターへ。結局1000円という拝観料に怯んでやめた。お土産やさんを見ていたら相手がおもむろに「蕎麦食べない?」と聞いてきたので、見ると鶴喜そばの暖簾がかかっている。そういえば比叡山にもお店があったんだった。鶴喜そば大好きマンなので食い気味に承諾。待っている間も鶴喜そばベタ褒めトーク。パンでお腹いっぱいだったのでざる蕎麦を半分こ。蛍光灯の下で食べるのが昔のサービスエリアっぽくて楽しい。プラの湯呑みに入ったお茶とか。
相手も褒めてくれてよかったな。関東の人に蕎麦勧めるのって緊張する。
そこからしばらく走ると比叡山頂。ちらっと見えた景色にを見るとなんと湖東のほうまでしっかり見えるではないですか。同じような画角に飽き始めていたけど、さすがにこの風景にはまた声が出る。
比叡山頂のガーデンミュージアムの中に展望台があって(わりと地上からでも見えるくらい存在感がある)、せっかくだからと入る。展望台モクで入ったけど見たことがないかわいいお花がいっぱい咲いていて、いいにおい。でもちょっと怖かった。花が怖い話って意外と共感を得られる。
展望台は一周ぐるっとガラス張りになっていて、申し訳なさげにベンチがあり、絵が飾ってある以外何もないストイック空間。最高。この世の全ての展望台はこうあってほしい。
大原、湖東、湖南、京都市街地、大阪と、今日見た景色が全部一気に見られる。しかも静か。いい……。しみじみ眺めていたら相手のカメラで写真を撮られた。あとで撮られた写真を見返していたら、全部カメラ初見の人か、野生動物みたいなびっくりした顔をしていた。変な顔のときを撮られるくらいなら最初から今撮って! と言った方がいいな。学び。
雲行きがあやしくなってきたけど降らない。むしろ他の街に雨が降っている様子がありありと分かる。すごい斜め、と言いながら見ていたらでっかい虹が出ていた。イラストみたいな虹。しかも少しずつ薄くなっている様子まで分かった。虹をここまでしっかり見たのは初めてかもしれない。自然に至れり尽くせりされている。
だらだら見ていたら17時半。本当は仰木まで走り切ってから大原経由で帰る予定をしていたけど、山頂で満足しちゃったので帰ることに。
山のあちこちでひぐらしが鳴いていて、反響しているよう。日が沈んだらどれほど涼しくなるんだろう。京都市街に近づくにつれ、少しずつ蒸し暑くなっていくのがいやだった。
ついでにカナートでごはんを買う。焼き鳥といなりずし。ニトリがあるのも思い出したのでフライパンも買っちゃった。ミスドは我慢した。
車を停めて、また私の家に帰る。ご飯を食べて、またお酒を飲んでしまった。サッポロビ。明日は禁酒します。
ドキュメント72時間をやっていた。恐山の回を見るとやはり祖父のことを思い出す。時期もあるのだろうか。ドキュメント72時間ってぶっ通しで何本も見ると胃もたれみたいになる。ひとつひとつが濃いから、少しずつ観たい。それにしてももうすっかりロングラン番組だ。よく観てたの高校生か大学生くらいだったものね。
樹木葬の回を見ていたら相手が見るからに半目で眠そうになっている。「ねるのもったいないよ……」と言いながら2秒後に寝そうな顔をしていたので布団を出して寝た。まだ休み2日目とは思えない濃密さ。